光の屈折と反射

【光の屈折】 
 水中は陸上での感覚が狂うということは、前にもいいました。スノーケリングにおいても、そのことも先に覚えておきましょう。

 水中のものは、実際の大きさよりも大きく、しかも近くに見えます。

  光は空気以外の物質を通過するとき、その境界面で屈折します。この現象は、物質によって光が通過する速度が違うためにおこります。光の入射角と屈折角には、異なった物質の境界面によって決まる一定の法則があり、これを屈折率といいます。液体や個体の屈折率は空気に対しての値で、水の屈折率は1.333です。

  マスクを着けて水中のものを見ているときには、水、マスクのガラス、マスク内の空気という三つの異なった物質を屈折しながら通過する光を見ていることになりますが、ガラスの屈折率は1.52〜1.76で水の屈折率に近い値なので、水中のものを見るときの屈折関係は空気と水と考えてよいでしょう。

 この光の屈折という現象で、水中のものは、実際の大きさよりも4/3つまり1.3倍も大きく見え、また距離にして3/4に近づいて見えるのです。

 余談ですが、釣り上げようとしたとたん魚に逃げられた釣り人が、逃げた魚は大きかったというのも、この現象で説明できるのではないのでしょうか。

 

【光の全反射】 
 光が水中から空気中に出るときのように、屈折率の大きい物質から小さい物質に進むとき、入射角が大きくなると屈折角も大きくなっていきます。入射角がある角度になると、屈折角は90度となり、屈折光は境界すれすれとなって空気中に出られなくなります。これ以上に入射角が大きくなると、光は反射して空気中に出る光はなくなってしまいます。これを全反射といいます。

 屈折角が90度となって光が水中から出られなくなる入射角を臨界角といいます。水の臨界角は48.5度です。

  これと同じように、空気中から水中に入る光も入射角が小さくなれば、海面で反射され透過率は低くなります。海面では、波もあってさまざまな方向に向いた水面で光の透過や反射が起っていますが、海中は太陽が真上(天頂)にくるときが最も明るくなります。海の中を覗くには、太陽が天頂にくる2時間前後が最適な時間帯といえます。また季節によっても違いますが、午前8時頃、午後4時頃の海の中は陸上の明るさに比べ思ったより暗いものです。特に午後4時過ぎからは、急速に暗くなってきます。